【B級1組8回戦】藤井四冠 圧巻の強さ!近藤七段との対局を振り返る
どうも、ゆーしゃんです。
皆様、先週の藤井竜王の将棋はご覧になられましたか?
この将棋は難解でした。
AIの評価値はずっと藤井竜王が悪かったのですが、
そこから絶妙な指し回しを見せ、バランスを保ちます。
見ている方からすればハラハラドキドキの展開でしたが
最後は藤井竜王が一瞬の隙をついて勝利しました。
この勝利は大きく、B級1組8回戦を終えた地点で、
藤井さんはリーグ暫定1位。
今期中のA級昇級も見えてきたわけです。
今回は、藤井竜王の将棋の解説をしつつ、
今後のB級1組順位戦の展望について
お伝えしようと思います。
先手:近藤七段 後手:藤井竜王
戦型は角換わり腰掛け銀になりました。
本局は両者とも
4八金・2九飛(6二金・8一飛)型
にはなりませんでした。
この形を見るのは2年か3年ぶりでしょうか。
そのくらい珍しいですね。
序盤は藤井竜王から先攻しますが、
対する近藤七段もうまく応戦します。
図の9六歩はなかなか指せない一手です。
次の狙いは9四香ですが、
攻めとしては遅いイメージです。
しかも、2四歩とされれば
玉頭に大きな拠点ができます。
しかし、2四歩には9四香、9八歩に
2三歩が用意の一手です。
2三歩で攻めの拠点を消すことができます。
この辺りの藤井竜王の見切りも正確ですね。
下図では既に午後10時を過ぎていました。
長い中盤戦も終わろうとしています。
藤井竜王の鋭い攻め。
形勢は先手500点ほど有利ですが、人間的に見れば
互角かむしろ後手持ちなのかもしれません。
図で7四歩と指しましたが、疑問手でした。
代えて、9六同歩、同飛、9七歩、7六飛、7七歩、
7四飛、4六角と局面を収めるべきとのことです。
しかし、無条件に銀を取られて、
それでも有利と言い切るのは、人間では難しいでしょう。
ここは、その手順しか勝ち筋を与えなかった
藤井竜王が素晴らしいとしか言いようがありません。
図で近藤七段が投了し、藤井竜王の勝ちが決まりました。
しかしまあ、なんと綺麗な投了図でしょう。
なんと、この桂打ちで先手玉は詰んでいます。
6七桂に同竜としても8八銀とし、以下
同金、同銀成、同玉、9八金、7九玉、4九飛
上図以下、6九歩なら8八金打、6八玉、5九馬で詰み。
6九竜なら8八金打、6八玉、6九飛成、同玉、
6七香、同銀、4九飛、6八玉、5九飛成まで。
歩しか余らない詰みとなります。
こんな勝ち方ができたら
どれほど気持ちがいいことでしょう(笑)
本局の解析結果と評価値
後手が藤井竜王ですが、形勢の保ち方が凄まじい。
一気に評価値が落ちることがほとんどないですね。
本局での藤井竜王の強さをまとめると、
・読みの精度が高く、指し回しが正確。
・不利だったとしても、形勢を維持してチャンスをうかがう。
・人間らしい指し回し。AIの評価値が悪くても人間的に見たらむしろ藤井竜王が指しやすい。
・勝ち方がスマート。綺麗な投了図。
さて、この勝利によって、藤井竜王はB級1組で首位に立ちました。
藤井竜王が自力で昇級を決めるには、あと2勝が必要です。
しかも、次戦は3位の千田七段、最終戦は2位の佐々木七段との対決があり、昇級するためには絶対に落とせない対局です。
藤井竜王から見て〇〇●〇〇となっています。
千田七段は朝日杯準決勝で藤井竜王を負かした経験があります。
また、藤井竜王と佐々木七段との対戦成績を見てみると、
藤井竜王から見て●〇〇となっています。
佐々木七段と言えば、藤井竜王のデビュー当時の29連勝を止めた棋士ですね。
これらから分かる通り、千田七段も佐々木七段も藤井竜王に勝ったことがある実力者です。
きっと両者とも藤井竜王との対局に最大限の準備をして臨むことでしょうし、白熱の戦いになること間違いなしですね。
すごく楽しみです。