高校名人の将棋ブログ

楽しみながら、強くなる。

角換わり腰掛銀③藤井二冠が指したあの形はどこへいったのか⁉

こんにちは、ゆーしゃんです。

 

今回も角換わり腰掛銀の変化について

詳しく見ていこうと思います。

 

今回のテーマは下図。

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一目で「あの将棋か!」となる人も

いらっしゃると思います。

 

2020年2月11日に行われた朝日杯準決勝の

千田翔太七段vs藤井聡太七段の対局で、

千田七段が用意の作戦を見せ、

藤井七段を相手に見事勝利しました。

 

一番最初に指されたのは、

2019年8月22日に行われたB級1組順位戦

千田翔太七段vs永瀬拓矢叡王(当時)の対局です。

永瀬叡王が千田七段得意の角換わりで挑み、

後手番で攻め倒す内容でした。

 

しかし、公式戦ではあまり指されず、

現在はアマチュアの将棋でたまに指される程度です。

 

今回と次回以降で、

なぜ公式戦でこの形が指されないのかについて、

詳しい変化まで触れつつお伝えしようと思います。

 

初手からの指し手

▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩

▲6八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀

▲7八金 △3二金 ▲4六歩 △6二銀 ▲4七銀 △6四歩

▲6八玉 △6三銀 ▲3六歩 △7四歩 ▲3七桂 △4二玉

▲9六歩 △9四歩 ▲1六歩 △1四歩 ▲2九飛 △7三桂

▲4八金 △8一飛 ▲6六歩 △6二金 ▲5六銀 △5四銀

▲2五歩 △5二玉 ▲7九玉 △4二玉 ▲8八玉 △6五歩

▲6九飛(1図)

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昨日のブログでも現れた飛車回りです。

△6六歩に対して▲同飛と取る指し方については

【角換わり】全国大会の決勝戦で刺さった研究を公開! - 高校名人の将棋ブログ (hatenablog.com)

を参照してください。

 

(1図以下の指し手)

△6六歩 ▲同 銀 △6五歩 ▲同銀直 △同 桂
同 銀 △同 銀 ▲同 飛 △6四銀(2図)

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これが強い一手です。勿論、▲6四同飛は

△5五角で王手飛車です。

以下、▲6九飛とした局面を3図とします。

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ここで、千田-藤井戦は藤井七段が

△7五歩としました。

▲同歩とすれば、△8六歩▲同歩△同飛

▲8七歩△4六飛とすれば、

▲4七歩には△3六飛、

▲4七銀には△7六飛(4図)で後手の飛車が

先手陣にプレッシャーを与えます。

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しかし、△7五歩には

▲5五銀という一手がありました。(5図)

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これがこの際の好手でした。

恐らく、千田七段の研究手だったのでしょう。

対して、実戦は△7三銀打としました。

後手は、▲6四銀△同銀で千日手を狙っています。

そこで、▲7四桂がこれまた驚愕の一着です。(6図)

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△5二金で何にもないようですが、▲6四銀

△同銀▲6三銀が厳しくなるわけです。(7図)

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△同金には▲7二角があり、

厳しい攻めになっています。

この変化が成立するから

藤井七段の△7五歩が良くなかったと言えます。

△7五歩に代えて△8六歩が最善でした。(8図)

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▲同歩に△7五歩とします。

それでも先手が▲5五銀とすれば、

△7三銀打▲7四桂△5二金▲6四銀

△同銀▲6三銀(9図)と進んだ時に・・・

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ここで△6三同金が成立します。

以下、▲7二角には△8六飛▲8七歩に

△7三金(10図)が好手。

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以下、▲8六歩△7二金となります。

結果としては飛車と角銀の交換で

後手の銀得ですね。

よって、△8六歩▲同歩が入っていれば

先手の攻めは成立しない

ことになります。

この手筋は頻出の手筋なので

覚えておくと良いですね。

 

今回はここまでとします。

次回以降はもっと複雑な変化まで

掘り下げていこうと思います。

最後までお付き合いいただき

ありがとうございました。