高校名人の将棋ブログ

楽しみながら、強くなる。

次の一手問題を作ってみた② 昨日の問題の解答も発表(2021年12月5日)

こんにちは、ゆーしゃんです。

 

今回も、前回に引き続き

次の一手問題を取り上げようと思います。

 

まだ前回の問題を解いていない方はこちら

次の一手問題を作ってみた①(2021年12月4日) - 高校名人の将棋ブログ (hatenablog.com)

 

では、前回の問題の答えから

見ていきましょう。

 

 12月5日 今日の問題はこちらからとべます

 

12月4日の問題の解答発表

第一問 序・中盤の戦い方

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正解は、9三桂成です。

評価値は+686(先手有利)

 

これは頻出の手筋ですね。

 

以下、9三同香は8三歩成で

飛車先を突破できます。

実戦は8一飛、8三歩成、5五歩、8二成桂

と進み、先手が優位を築きました。

 

序・中盤で敵陣を突破すれば

一気に有利になるので、

こういう手筋は覚えて

どんどん使うべきです。

 

第二問 起死回生の一手

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(便宜上先後逆)

正解は、3三銀

評価値は-1478(後手優勢)

 

これが後手起死回生の一着。

問題図で5四香と竜を取ると、

5二銀で詰まされます。

 

しかし、3三銀、同玉、4一桂、

2三玉、2二歩、1三玉、1二歩、

1四玉、2三金、2五玉

と手順を尽くしてから5四香と取れば、

自玉が安全になっています。(下図)

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まるでマジックのような手順ですね。

 

3三銀の一手が見えれば

優にアマ有段の実力が

あると言えるでしょう。

 

第三問 玉を逃げる時は要注意

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(便宜上先後逆)

正解は8五玉

評価値は+927(先手優勢)

 

☆正解以外の変化

①8七玉は7八金、8六玉、5三角、

7五歩、8七香で詰み(下図)

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②7五玉は5三角の王手金取りがある。

以下、6四歩、7六歩、8四玉、

3一角成と進む(下図)

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図では後手玉は8五歩以下の詰めろ。

相手が香車を持っているのが大きい。

 

 

よって、正解は8五玉。

以下、8九香、8六歩、同香、

同玉、9七角、8五玉、3一角成

と進みますが(下図)

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後手玉は詰めろになっていません。

前の変化と比べて先手は香車

持っていないので、

後手玉の安全度も増しています。

よって、図から

守るなら7五香、

攻めるなら3七角成など、

後手の選択肢が増えますね。

 

形勢が二転三転している中、

後手も必死に玉を逃がそうとしています。

そういう局面では

自玉が詰まないことばかりに

集中してしまいがちですが、

不利な状況においては

視野を広くしないと逆転は難しいでしょう。

 

玉を逃げる一手はそれだけで

形勢を左右するほどの勝負の山場です。

ここで正着が指せるようになれば

アマ四・五段の実力と言えるでしょう。

 

第四問 終盤の確信は命取り

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正解は4四歩

評価値は+260ぐらい(互角)

 

☆正解以外の変化

①4四桂(下図)

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これなら4二金打、2三玉、5四香にも

5二銀以下詰みます。

 

この変化があるから、

絶対に桂合が正しいと

思ってしまいがちですが、

しかし実は疑問手。

 

4四桂には同馬、同歩、

4二金打、2三玉、4四歩

とされ、一気に後手玉が遠くなります。

(下図)

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大事な桂馬を取られたのが大きいです。

実は図で桂馬を持っていれば、

4三桂、同金、7三角、4一玉、5二と、

同玉、6一銀、同玉、6三香以下、

後手玉は詰みます。

 

 

よって、

桂馬は大事な駒であるため、

手拍子に4四桂と

指してはいけません。

 

②5五香は、同馬、同竜、7八香、

8六玉、8七歩以下詰み。

 

よって、素朴な4四歩が最善(正解図)

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4二金打、2三玉、5四香

がありそうですが、

そこで6二銀打、4一玉、5二銀以下

詰んでいます。

 

よって、後手も4二金打では勝てません。

そこで、正解図から4四同馬、

同竜、4二金打、2三玉、4四歩

はどうでしょう。(下図)

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どこかで見た形ですね。

そうです。4四桂合の変化だと

先手は桂馬を持っていないのですが、

4四歩合の変化では桂を持っています。

よって、前述したとおり

4三桂から即詰みになります。

 

今回の問題のように、

終盤の確信ほど怖いものはありません。

確信して指した一手が実は

大悪手だったということは

よくあります。

だから、確信を持ったとしても

もう一度穴がないか

考えてみるべきです。

その習慣がつけば

勝率UPは間違いないでしょう。

 

ちなみにこの問題は難解でしたね。

正直私もすべての変化を

30秒以内に読み切るのは不可能でした。

この変化を30秒~1分で読めるのであれば

アマ高段者ですね。

 

12月5日 今日の問題

※問題のレベルは、(あくまで目安ですが)

☆・・・アマ1級以下

☆☆・・・アマ初段~三段

☆☆☆・・・アマ四段~五段

☆☆☆☆・・・

アマ六・七段相当(筆者が頭を捻るレベル)

☆☆☆☆☆・・・

プロレベル???(筆者が到底見えないと思うレベル)

 

第一問

難易度:☆☆

目標回答時間:30秒

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第二問

難易度:☆☆☆

目標回答時間:30秒

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問題の答えと解説は次回発表しますので、

問題を解かれましたら、

ブログのコメント欄やツイッター

答えを書いてみてください

 

今回はこれで終わりにしようと思います。

何か要望等ありましたら、

コメント欄かツイッター

お知らせください。

ではまた次回お会いしましょう!

次の一手問題を作ってみた①(2021年12月4日)

こんにちは、ゆーしゃんです。

 

今回から新しい試みで、

次の一手問題を

出していこうと思います。

 

その経緯といたしましては、

・私は普段、

あまり次の一手問題を解かないのだが、

それは次の一手問題を扱う本が少ないからであり、

このブログを使って次の一手問題集を

作りたいと思ったから。

・ひと昔前の将棋フォーカスで千田七段が

コンピュータの一手や評価値を参考にした

自作の次の一手問題集を紹介していて、

真似したいと思ったから。

・このブログに投稿することで、

私だけではなく

読者の皆様も問題を解くことができるから。

(読者様の棋力向上に繋がれば

私としては本懐の至りです。)

 

以上の3点です。

 

よって、今回から高頻度で

(毎日といいたいところですが)

次の一手問題を

投稿していきたいと考えています。

読者様におかれましても

ぜひこの次の一手問題、

そしてこのブログを

棋力向上のツールとして活用してみてください!

 

また、問題の答えと解説は次回発表しますので、

問題を解かれましたら、

ブログのコメント欄やツイッター

答えを書いてみてください

 

では早速いきましょう!

 

※問題のレベルは、(あくまで目安ですが)

☆・・・アマ1級以下

☆☆・・・アマ初段~三段

☆☆☆・・・アマ四段~五段

☆☆☆☆・・・

アマ六・七段相当(筆者が頭を捻るレベル)

☆☆☆☆☆・・・

プロレベル???(筆者が到底見えないと思うレベル)

 

 

第一問

レベル:☆

f:id:ryushinzinou:20211204220844p:plain

 

第二問

レベル:☆☆

目標回答時間:30秒

(便宜上先後逆)

f:id:ryushinzinou:20211204224704p:plain


第三問

レベル:☆☆☆

目標回答時間:30秒

(便宜上先後逆)

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第四問

レベル:☆☆☆☆

目標回答時間:1分

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今回はこんな感じです。

第四問は難解です。私は30秒では見えませんでした。

ではまた次回もよろしくお願いいたします。

角換わり腰掛銀④一発勝負をものにする研究の方法とは⁉

こんにちは、ゆーしゃんです。

 

今回は、前回に引き続き、

角換わり腰掛銀の変化を掘り下げていきます。

 

前回の記事をご覧になっていない方はぜひこちらから。

角換わり腰掛銀③藤井二冠が指したあの形はどこへいったのか⁉ - 高校名人の将棋ブログ (hatenablog.com)

 

では、早速見ていきましょう。

(1図)

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前回のおさらいから。

ここで△7五歩とするのは▲5五銀△7三銀打

▲7四桂△5二金▲6四銀△同銀▲6三銀(2図)

の攻めが成立します。

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しかし、△8六歩▲同歩の交換が入っていれば、

この局面で△6三同金が成立します。

以下、▲7二角△8六飛▲8七歩に△7三金(3図)

が好手で後手が駒得になります。

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よって、1図の局面に戻り・・・

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ここで△7五歩に代えて△8六歩が最善でした。

今回は、この△8六歩以下の

展開について掘り下げていきます。

 

1図以下の指し手

△8六歩 ▲同歩 △7五歩 ▲7九玉

△5五角(4図)

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▲7九玉と引いたことで、次に▲6四飛と銀が取れます。

後手も△5五角と対抗します。

 

(4図以下の指し手)

▲6六銀 △同角 ▲同飛 △6五銀打

▲6九飛 △7六歩 ▲5六桂(5図)

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この局面が一つ目の分岐点。

後手は①△5六同銀と②△6七歩が有力です。

今回は、①△5六同銀についてみていきましょう。(6図)

f:id:ryushinzinou:20210912172009p:plain

ここで、▲5六同歩とするのは、

△6六歩▲同飛△7五銀打▲6七飛△8六飛▲8七歩

△8四飛▲4五桂△4四銀▲6八玉△5四桂(7図)

が一例で後手良しとなります。

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後手の抑え込みが強力です。

 

(再現6図)

f:id:ryushinzinou:20210912172009p:plain

よって、▲5六同歩に代えて▲6四飛についてみていきます。

以下、△6三歩▲6六飛△7七銀(8図)と進みます。

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後手の果敢な攻めです。

以下、△同歩成▲同金△6五桂▲7八歩

△7七桂成▲同歩△6五桂▲6八銀

△5七桂成▲同銀△同銀成▲同金△7六歩(9図)

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この手順は定跡化されています。

この△7六歩が鋭手。

▲7六同歩は△7七銀、

▲7六同飛は△8七銀が厳しいです。

9図以下、▲6七飛△7五金▲6九玉△8六金▲6五飛△7七金

▲8五歩△6四銀が一例で先手がまとめ切るのは大変でしょう。

 

(再現8図)

f:id:ryushinzinou:20210912173812p:plain

ここで▲7七同桂が定跡ですが、

先ほどの手順で先手が悪いとされています。

この局面の評価値も-100程度となっています。

しかし、先手が悪い評価値が出ているからといって、

この局面が駄目だと言い切れるでしょうか?

筆者はそうは思いません。

悪いとされている定跡や変化にも、

自分が指しやすい局面は隠れているものです。

大事なのは、悪い変化ならなぜ悪いのかを理解し、

「これならどうか?」と自分で考えることです。

 

私は、中学生の全国大会の決勝戦

負けてしまった経験があります。

その他にも中学生の時に参加した大会では、

勝戦のようなプレッシャーがかかった対局で

ほとんど勝てませんでした。

高校生になって、

自分の将棋の勉強方法を見直してみると、

コンピュータの一手や評価を鵜呑みにしたり、

友達が言っている練習方法をそのまま真似したり

していることに気付きました。

自分が決勝戦のような大舞台で勝つには

何が足りないのか?

それは、自分に合った一手や研究、

練習方法を自分で考えてみることでした。

自分で考える姿勢を意識することで、

自分で一手を決めたり

局面の方針を定めたりする癖がつき、

自分に集中できるようになります。

自分に集中することで、

一局の価値の重みや対戦相手のことよりも、

自分の力を発揮することに力を注げるようになります。

その気づきが、

二度の全国大会決勝戦で優勝という

結果に繋がりました。

 

だから、皆さんも自分で考える姿勢を

意識してみると更に実力が伸びると思います!

周りの方で、

伸び悩んでいる人やプレッシャーに弱いと悩んでいる方に

この記事のことを教えてあげてくださいね!

 

だいぶ話が脇道にそれました。

話を戻します。

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この局面で評価値は-100程度。

しかし、先手の主張は幾つかあります。

まず、持ち駒が多い。

2つ目に、駒得。

3つ目に、後手が間違えたら一気に先手が勝ちそう。

よって、先手が悪くても頑張りがいがある局面になっています。

そこで、私なら▲5六飛としてみたいです。

以下、△7八銀成▲同玉△6五金▲4七角(10図)

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この▲4七角が研究手。

飛車の打ち込みを制限しつつ、

妙に自玉にも敵陣にも働いてきます。

この局面でぱっと目につく△6六桂は

▲同飛△同金に▲8三桂が妙手。(11図)

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歩切れの後手は意外にも攻めが続きません。

次に▲8四角の両取りも狙っています。

 

(再現10図)

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ここで△4四銀もありますが、▲8八角が好手第二弾。

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後手の△5五銀の進軍を阻止しつつ、

△6六桂などの筋も消しています。

これらより、先手が悪いとされていた

①△5六同銀の変化はまだ戦えると考えています。

 

ここで話が変わりますが、

ここまで見てきたのは、定跡から派生した変化でした。

こういう変化というのは、実は、

一発勝負で勝つためには非常に大事なんです!

多くの人はよく定跡形を指してきます。

そこで、よく指される変化、現れやすい局面に持ち込んで

研究手が指せれば、当然勝率は上がります。

研究手を増やして一発勝負を勝ち抜く、

これが私が普段の練習において

ソフト研究をしている一つの理由です。

 

しかし、研究とは、

決してコンピュータの一手や評価だけではありません。

自分が思い描いた形や一手を探求し、

理想形の局面に持っていくのが研究なのだと思います。

将棋ソフトが進化する中、

私たちはプロ棋士や先生方以外にも

ソフトを先生として活用することで、

棋力向上できる時代になりました

それが故に、ソフトを正しく活用しないと、

周囲の人と大きな差がつく時代にもなりました

 

「ボールはともだち こわくないよ」

と言う漫画のように、

将棋ソフトと友達になることが

今の時代では求められているのでしょう(笑)

 

今回は以上になります。

 

「今後こんなのもブログに書いて欲しい」

などありましたら、twitterで知らせてください!

お願いします!

 

では、今回もありがとうございました!

角換わり腰掛銀③藤井二冠が指したあの形はどこへいったのか⁉

こんにちは、ゆーしゃんです。

 

今回も角換わり腰掛銀の変化について

詳しく見ていこうと思います。

 

今回のテーマは下図。

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一目で「あの将棋か!」となる人も

いらっしゃると思います。

 

2020年2月11日に行われた朝日杯準決勝の

千田翔太七段vs藤井聡太七段の対局で、

千田七段が用意の作戦を見せ、

藤井七段を相手に見事勝利しました。

 

一番最初に指されたのは、

2019年8月22日に行われたB級1組順位戦

千田翔太七段vs永瀬拓矢叡王(当時)の対局です。

永瀬叡王が千田七段得意の角換わりで挑み、

後手番で攻め倒す内容でした。

 

しかし、公式戦ではあまり指されず、

現在はアマチュアの将棋でたまに指される程度です。

 

今回と次回以降で、

なぜ公式戦でこの形が指されないのかについて、

詳しい変化まで触れつつお伝えしようと思います。

 

初手からの指し手

▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩

▲6八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀

▲7八金 △3二金 ▲4六歩 △6二銀 ▲4七銀 △6四歩

▲6八玉 △6三銀 ▲3六歩 △7四歩 ▲3七桂 △4二玉

▲9六歩 △9四歩 ▲1六歩 △1四歩 ▲2九飛 △7三桂

▲4八金 △8一飛 ▲6六歩 △6二金 ▲5六銀 △5四銀

▲2五歩 △5二玉 ▲7九玉 △4二玉 ▲8八玉 △6五歩

▲6九飛(1図)

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昨日のブログでも現れた飛車回りです。

△6六歩に対して▲同飛と取る指し方については

【角換わり】全国大会の決勝戦で刺さった研究を公開! - 高校名人の将棋ブログ (hatenablog.com)

を参照してください。

 

(1図以下の指し手)

△6六歩 ▲同 銀 △6五歩 ▲同銀直 △同 桂
同 銀 △同 銀 ▲同 飛 △6四銀(2図)

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これが強い一手です。勿論、▲6四同飛は

△5五角で王手飛車です。

以下、▲6九飛とした局面を3図とします。

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ここで、千田-藤井戦は藤井七段が

△7五歩としました。

▲同歩とすれば、△8六歩▲同歩△同飛

▲8七歩△4六飛とすれば、

▲4七歩には△3六飛、

▲4七銀には△7六飛(4図)で後手の飛車が

先手陣にプレッシャーを与えます。

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しかし、△7五歩には

▲5五銀という一手がありました。(5図)

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これがこの際の好手でした。

恐らく、千田七段の研究手だったのでしょう。

対して、実戦は△7三銀打としました。

後手は、▲6四銀△同銀で千日手を狙っています。

そこで、▲7四桂がこれまた驚愕の一着です。(6図)

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△5二金で何にもないようですが、▲6四銀

△同銀▲6三銀が厳しくなるわけです。(7図)

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△同金には▲7二角があり、

厳しい攻めになっています。

この変化が成立するから

藤井七段の△7五歩が良くなかったと言えます。

△7五歩に代えて△8六歩が最善でした。(8図)

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▲同歩に△7五歩とします。

それでも先手が▲5五銀とすれば、

△7三銀打▲7四桂△5二金▲6四銀

△同銀▲6三銀(9図)と進んだ時に・・・

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ここで△6三同金が成立します。

以下、▲7二角には△8六飛▲8七歩に

△7三金(10図)が好手。

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以下、▲8六歩△7二金となります。

結果としては飛車と角銀の交換で

後手の銀得ですね。

よって、△8六歩▲同歩が入っていれば

先手の攻めは成立しない

ことになります。

この手筋は頻出の手筋なので

覚えておくと良いですね。

 

今回はここまでとします。

次回以降はもっと複雑な変化まで

掘り下げていこうと思います。

最後までお付き合いいただき

ありがとうございました。

【角換わり】全国大会の決勝戦で刺さった研究を公開!

こんにちは、ゆーしゃんです。

 

今回は、全国大会の決勝戦で用いた

研究を公開しようと思います。

また、研究をするにあたっての心構え

についてもお伝えします。

角換わりは研究がものを言う戦型です。

角換わりは角を手持ちにしていて、

飛車角銀桂の攻め駒を攻めに活用できます

そのため、主導権を握れば強力な攻めを

繰り出すことができます。

従って、研究によって主導権を握ることが

勝利に結びつきやすいと言えるわけです。

今回の決勝戦棋譜で、角換わりや研究将棋への

魅力を感じて頂ければ、幸いに思います。

ぜひ、最後までお付き合いください。

 

※動く将棋盤は棋譜解説の最後にあります。

初手からの指し手

▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩

▲6八銀 △3二金 ▲2五歩 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀

▲4八銀 △6二銀 ▲7八金 △3三銀▲4六歩 △6四歩

▲4七銀 △6三銀 ▲9六歩 △9四歩 ▲6八玉 △1四歩
▲1六歩 △4二玉 ▲3六歩 △7四歩 ▲3七桂 △7三桂

▲2九飛 △8一飛 ▲4八金 △6二金 ▲5六銀 △5四銀

▲6六歩 △5二玉 ▲7九玉 △4二玉 ▲8八玉 △6五歩

(1図)

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後手が私です。ちなみに、当時の私は高校一年生です。

 

この局面は公式戦でもよく現れる形ですね。

後手番でも主導権を握れる形なので、

私もよく採用します。

 

(1図以下)

▲6九飛 △6六歩 ▲同飛 △6五歩

▲6九飛 △6四角 ▲4七金(2図)

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先手の▲6九飛は、角換わりではよくある一着です。

△6六歩に対して▲同飛としましたが、

▲同銀もあります。

以下、△6五歩に▲同銀直△同桂▲同銀

△同銀▲同飛△6四銀(3図)

が公式戦でもよくある進行です。

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一見ただのように見えますが、▲6四同飛とすると

△5五角の王手飛車があり、ゲームセットになります。

3図では▲6九飛としておいて、一局の将棋です。

この変化についてはまた今度紹介しようと思います。

 

さて、本題に戻ります。

(再現2図)

f:id:ryushinzinou:20210910152022p:plain

この局面は、後手がポイントを挙げています。

その理由は、

・6四の角が好位置で、攻めの形が作れている。

・先手陣は形が悪い(5八の空間が気になる)

・先手から攻めにくくなっている。

 

一方、後手からも具体的に

良くする手順が見えにくいです。

普通の一手なら△4四歩や△3一玉などでしょうか。

それも一局ですが、

しばらく飽和状態が続きそうです。

千日手になるか、後手が工夫して動くかの

将棋になるでしょう。

 

私はこの局面で千日手にするのは

勿体ないと考えていたので、

攻める手順を研究していました。

それが以下の手順です。

 

2図以下の指し手

△4四銀 ▲6八飛 △5五銀左(4図)

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守りの銀を攻めに活用し、

銀をぶつけてしまうのが狙いの構想でした。

ここまでいけば、後手の作戦勝ちが

明確になったかと思います。

 

恐らく事前研究がなければ、

この構想には気付かなかったと思います。

ですが、この△5五銀は

最善手や次善手ではありません。

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実際には5番手・6番手ぐらいの一手。

これがミソなんです。

 

普段から研究にコンピュータを活用している人なら、

局面の最善手や次善手は知っている人が多いです。

しかし、5番目や6番目の一手まで

研究している方はそうそういません

コンピュータ研究が盛んな現代将棋では、

最善手や次善手を知っているだけでは

なかなか勝てないものです。

コンピュータが示す一手の意味を知ったうえで、

最善や次善以外の一手も知る

広く深い研究こそが現代将棋を

勝ち抜く上で鍵となるでしょう。

 

4図以下の指し手

▲5五同銀 △同角 ▲5六歩 △2二角

▲7九玉 △9五歩 ▲同歩 △7五歩

▲同歩 △8六歩 ▲同歩 △6六歩

▲同銀 △同角 ▲同飛 △6五銀(5図)

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軽快な歩の突き捨てから、

バサッと角を切って攻め込みます。

この辺りは研究から外れていますが、

こういう攻めはコンピュータの

影響を受けていると思います。

コンピュータ研究をすることで、

攻めの技術は向上します。

 

5図以下の指し手

▲6八飛 △9五香 ▲9二角 △8二飛

▲6五角成 △同桂 ▲5五角 △6七歩

▲同飛 △7六銀 ▲6五飛 △同銀

▲8二角成 △4九飛 ▲6九歩 △5八角

▲6八飛 △9九香成(6図)

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最後の△9九香成が決め手。

香を入手することで▲6五飛には△6三香を用意し、

成香が玉の左右挟撃体制を作っています。

以下は30秒将棋の中、相手の勝負手にも

正確に判断することができ、

勝利することができました。

 

動く将棋盤はこちらから 今回の対局

 

このように、角換わり戦においては

研究で主導権を握ることが

大きなアドバンテージになる

よく分かる一局だったと思います。

そのためにも、研究の方法を自分なりに

工夫することが大事になってきます。

当ブログでは、皆さんの研究や棋力向上を

サポートする内容になっているので、

毎回読んでいただいて、

新たな発見に繋がればと思います。

 

それでは今回は以上になります。

最後までお付き合いいただき

ありがとうございました。

角換わり腰掛銀②放牧定跡はなぜ指されなくなったのか?

こんにちは、ゆーしゃんです。

今回も前回に引き続き角換わり腰掛銀の

変化を掘り下げていきます。

最後までお付き合い下されば

幸いに思います。

 

さて、今回のテーマは放牧定跡。

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放牧定跡とは?

放牧定跡とは、2019年8月29日に行われた

叡王戦七段予選の村山七段vs藤井聡七段戦(段位は当時)

で村山七段が用いた作戦です。

それ以降は、藤井二冠を中心に公式戦で

指されて定跡化されました。

ちなみに放牧定跡という定跡名の由来については

筆者にも分かりかねます(苦)

 

しかし、今では公式戦で全く見ない定跡になりました。

マチュア将棋では稀に指されているようですが。

 

今回は、なぜ放牧定跡が指されなくなったのかを

自分なりの見解をもとにお伝えします。

参考になれば嬉しいです。

 

初手からの指し手

▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩

▲7七角 △3四歩 ▲6八銀 △7七角成

▲同 銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀
▲7八金 △3二金 ▲4六歩 △6二銀

▲4七銀 △6四歩 ▲6八玉 △6三銀

▲3六歩 △7四歩 ▲3七桂 △4二玉
▲9六歩 △9四歩 ▲1六歩 △1四歩

▲2九飛 △7三桂 ▲4八金 △8一飛

▲6六歩 △6二金 ▲5六銀 △5四銀
▲2五歩 △5二玉 ▲7九玉 △4二玉

▲8八玉 (図)
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先手は▲8八玉と上がらず▲4五桂と攻める

指し方もあります。

後手の形はプロでもよく指されている

5二玉→4二玉手待ちですね。

 

△6五歩 ▲同歩 △同桂 ▲6六銀

△6四歩 ▲4五歩

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△8六歩 ▲同歩 △同飛  ▲8七歩

△8一飛 ▲4六角 △6三金 ▲2四歩

△同銀 ▲5五銀左

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▲2四歩△同銀を利かしてから

この銀ぶつけが狙いの筋です。

ちなみに▲2四歩に対して△同歩だと

▲2五歩の継ぎ歩が厳しいです。

 

△5五同銀 ▲同角 △5四金

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この金が驚きの一着。

2つの意味があり、1つは▲7二銀のケア

もう1つはその後の手順を見れば分かります。

 

▲1一角成 △3三桂

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この桂跳ねが後手の狙いだったのですね。

桂で馬の効きを遮断しつつ、8一の飛車で

馬取りになっていて、非常に味のいい一手です。

 

この局面で先手の指し手は2つに分かれます。

まずは①▲2一銀から見ていきます。

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この一手は2019年10月18日に行われた

王将戦挑戦者決定リーグの糸谷八段vs藤井七段の将棋です。

 

△7五歩 ▲6六歩 △7六歩 ▲6五銀

△同歩

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ここで糸谷-藤井戦は▲3二銀成としましたが、

悪手のようで、以下は藤井七段が

鮮やかな収束を見せました。

 

代えて、a.▲8六香とb.▲2七香についてみていきます。

▲8六香 △8五歩 ▲同香 △同飛

▲3二銀成 △同玉 ▲4六桂 △7七香

▲同桂 △同歩成 ▲同金 △6八銀

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▲8六香の意味は、

飛車の横筋をそらすことでしたが、

その後は攻め合いになります。

先手は、この一手が詰めろになるのが痛い。

詰み手順:△7七銀成▲同玉△7六歩▲6八玉

△6七銀▲同玉△5五桂▲6八玉△6七銀

▲5九玉△4七桂不成▲4九玉△2七角▲同飛

△3九金まで。

よって、この筋は先手の負け筋です。

 

b.▲2七香の変化はどうでしょうか?

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▲2七香 △6六歩 ▲2四香 △6七銀

▲3二銀成 △同玉 ▲2三香成 △4一玉

▲7九銀 △7七銀

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やはり攻め合いになりますが、

先手が競り負けそうです。

 

よって、①▲2一銀の変化は

後手有利という結論になりそうです。

代えて、②▲6六歩を見ていきましょう。

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▲6六歩は村山-藤井戦で現れた一着でした。

これは驚きの一手です。

なんせ、先手の馬が取られてしまうので。

しかし、それは先手にとって

織り込み済みということですね。

桂香と角の交換の二枚替えで

先手も指せるということでしょう。

 

一方、藤井七段はこの局面で△7五歩とし、

馬を取りませんでした。

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これまた面白い一着です。

馬はいつでも取れる、

取られそうな桂馬を活用したい、

そういう意味でしょう。

この辺りの応酬が

放牧定跡の面白いところです。

以下は、▲6五歩△7六歩▲6四歩△1一飛

▲6三歩成と進みましたが、

そこで藤井七段が△7五角と悪手を指し、

村山七段が的確に咎めて勝利しました。

代えて△6六角なら難しいようです。

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この局面、コンピュータでも形勢判断が

できないような難解な局面で、

当時は話題になった局面です。

どちらを持っても

指せる局面ではないでしょうか。

 

後手としては、△7五歩以外に

△8六歩という一手があるようです。

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この一手が後手の最善とされています。

さて、放牧定跡の終わりが見えてきました。

 

▲8六同歩 △8五歩 ▲同歩 △1一飛 

▲6五歩 △同金 ▲同銀 △同歩

▲7七銀

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△7五歩 ▲同歩 △8六歩 ▲同銀

△6六歩 ▲6八歩 △7六銀 ▲7七金打

△同銀成 ▲同銀 △9五歩 ▲同歩

△同香 ▲同香 △8六歩 ▲同銀

△9六金 ▲8七銀 △6五角

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放牧定跡は結局、

この変化に行きつくと思われます。

評価値は-300です。

先手はかなり攻められていて

気持ち悪いですよね。

(動く将棋盤①)

 

これらの変化があり、

私は放牧定跡を後手有利と

結論づけています

放牧定跡は角換わりらしい

華麗な定跡という印象ですが、

いかんせん先手が攻められすぎて

いるように思われます。

先手番ならもっと攻める形があり、

わざわざ放牧定跡を選ばないというのが

プロの方の考え方でしょうか。

(筆者はプロではないのであくまで推測ですが。)

 

しかし、少し形が変われば結論は変わるというもの。

下図がその例です。

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この図は先手が2六歩型。

後手は7二金→6二金と手待ちする形です。

この形だと、放牧定跡の手順で進めば

先手が有利になります

一例を挙げると、

△6五歩 ▲同歩 △同桂 ▲6六銀

△6四歩 ▲4五歩 △8六歩 ▲同歩

△同飛 ▲8七歩 △8一飛 ▲4六角

△6三金 ▲2五桂

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この一手が2六歩型ならではの一着。

ここで△2四銀とすると、同じように進んだときに・・・

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▲3三桂成△同銀▲同馬△同金▲6六歩とすれば、

馬がただで取られず、またスムーズに相手の桂馬を

処理することができます。評価値は300。

(動く将棋盤②)

 

また、△2四銀の局面で△2二銀とするのも・・・

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壁銀になり、▲5五銀左△同銀▲同銀とすれば、

次の▲7二銀がより強烈になります。

また、▲6六歩も狙っていますね。

 

このように、2六歩型であれば

放牧定跡の手順は先手が有利

ということになります。

実戦で試してみる価値はありそうですね。

 

動く将棋盤はここから

 

今回は、長々と放牧定跡について

語ってしまいました(汗)

次回以降も角換わり腰掛銀の変化について

お伝えできればと思います。

ではまた次回、お会いしましょう。

ありがとうございました。

角換わり腰掛銀①後手4二玉-6三銀型

こんにちは、ゆーしゃんです。

 

今回は、角換わり腰掛銀の変化を取り上げていきます。

 

さて、下図がテーマにある4二玉-6三銀型です。

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この形を4二玉-6三銀型と呼ぶことにします。

プロの公式戦では、

・2019年2月5日 C級1組10回戦

 藤井聡七段vs近藤誠五段

・2020年7月9日 棋聖戦第三局

 藤井七段vs渡辺明棋聖

・2020年7月28日 A級順位戦2回戦

 羽生九段vs佐藤天九段

(いずれも当時の段位)

などで指されている形です。

 

図から、4五桂と仕掛けていきます。

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図以下の指し手

△2二銀 ▲3五歩 △同歩 ▲6五歩 

△同歩 ▲5五銀 △3三桂 ▲1八角

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この角が狙いの一着。次に▲3三桂成△同銀

▲6三角成△同金▲7二銀を狙っていますね。

それを防ぐために、後手は①△8二飛

②△3六角の2つが考えられます。

 

①△8二飛

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図以下の指し手

▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △8六歩

▲同銀 △2三金 ▲3三桂成 △同玉 

▲2九飛

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藤井聡-近藤誠戦はここから△2四歩▲4五角

△9五歩▲同歩△4四歩▲2三角成△同玉

▲4五歩△8四桂と進みました。

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また、羽生-佐藤天戦は図から△2五歩▲同飛

△8四桂▲6七金△2四金▲2九飛△2五歩

と進みました。

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いずれの変化も評価値は100~150ぐらい。

ただ、△8四桂が先手玉を直接攻める

好打になるため、後手も戦えると思います。

 

局面を戻しますが、私が先手を持ったら、

△8六歩の攻めには▲同歩と応じたいです。

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一例を挙げると、△2三金▲6四歩△5二銀

▲2九飛△2五歩▲7五歩。

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▲7五歩がなかなかの攻めです。7六の地点に桂を打たれないのが強みです。

(動く将棋盤①)

 

以上が①△8二飛ですが、私の見解としては

後手が苦心する展開になるのではないかと考えています。

薄い玉形なのに先手に一方的に攻められるのはつらいですよね。

そこで、もう一つの候補手を見ていきます。

 

②△3六角

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藤井聡-渡辺明戦は図の一手が指されました。

これが渡辺棋聖の研究だったのでしょう。

以下、▲3六同角△同歩▲5三桂成△同金

▲6二角△6一桂▲6四歩△5二銀▲2四歩

△同歩▲5三角成△同桂▲5四銀△2五桂

と進みました。

▲5三桂成は驚きの一着ですが、△同玉には

▲3四歩とし、将来の▲3五角など、先手に

楽しみが多い局面です。よって▲5三桂成には

△同金が最善。

評価値は150ぐらい。先手の主張は駒得。

後手の主張は玉の広さや△8六歩からの玉頭攻めです。

いい勝負でしょう。

 

ちなみに下図で、

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私なら▲2四歩とせずに単に▲5三角成とします。

△同桂▲5四銀に対して後手からの△2五桂がありません。

あとからだと▲2四歩が入るかどうか微妙ですが、

どちらを選ぶかは好みによるでしょう。

(動く将棋盤②)

 

②△3六角の変化なら後手も戦えそうです。

 

動く将棋盤はこちらから。

いかがだったでしょうか。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。